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「スリー・ビルボード」あらすじと感想

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スリー・ビルボード

日本では2018年に公開された、ヒューマンドラマ『スリー・ビルボード』をご存知ですか?

本作品はアメリカのミズーリを舞台に描かれた、リアリティ溢れるドロドロとした人間ドラマ。

ミズーリが舞台になっているせいか、普段ハリウッド映画でよく見かけるNYやLAの人々とは違う雰囲気のアメリカ人が描かれています。

いわゆる田舎の人々ですね。

『スリー・ビルボード』は一見地味な印象の映画ですが、公開当時はとても話題になっていました。

目次

「スリー・ビルボード」あらすじ

突如現れた3つの赤い看板

[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]そんな田舎町の何もない殺風景な田舎道に、ある日[move]赤くてとても目立つ3枚の看板[/move]が立てられます。[/moveline]

看板を出すように依頼したのは、主人公の中年女性ミルドレッド。

7か月前に娘をレイプで失い、ショックから立ち直れないミルドレッド

スリー・ビルボード

まぁそれは、当然ですよね。

その上警察の捜査は一向にはかどらず犯人の手掛かりが全く掴めないことから、堪忍袋の緒が切れた彼女。

そこで、この看板を立てることを思い付いたのでしょう。

看板の内容

  1. 娘アンジェラが殺された
  2. だに犯人が捕まっていない
  3. 警察署長のウィロビーを責める

この看板は真っ赤なのでとても目立ち、地元の報道などでもすぐに取り上げられるのです。

ほとんど笑顔なしで、インタビューに応えるミルドレッド。
何ともギスギスしていて好感が持てない感じの女性なのです。

エマ
最愛の娘を失った母親なので仕方がないでしょう。

ですが特にストーリー序盤では、彼女の乱暴さが目立ち正直イライラさせられました。

警察署長のウィロビーは人望が厚い人

ウィロビー署長は町の人々からとても慕われている良い人で、彼女は看板の設置によって、多くの人を敵に回してしまうことになります。

その上ウィロビーはガンを患っており、先が長くないことを皆が知っていました。

これにより特にウィロビーを誰よりも慕っている警察官のジェイソンは、ミルドレッドに対して強く敵対心を抱きます。

エマ
この2人の醜いいがみ合いが、観ていても嫌気がさすほどでした。

ミルドレッドの別れた夫と息子

この元夫が今ではキャピキャピした若い女の子と付き合っています。

そしてミルドレッド宅を訪ねる際に彼女を連れてきたりして、無神経極まりない。

この映画の中で1番好感を持てない人物でした。
ミルドレッドには息子もいるのですが、彼も何となくどんよりしてしまうのです。

ある日突然、ウィロビーが自殺

彼は病で苦しむ所を、妻や幼い子供に見せたくなかったのだと思います。

しかしこの件で、ミルドレッドの肩身はますます狭くなるのですね。
世の中は本当に厳しいなぁと思いました。

この映画は激しいアクションなどほとんどありません。

ですが、とにかく物語が予想外の方向にコロコロと転がっていき、常に感情を揺さぶられる感じなのです。

全く退屈しないストーリー、脚本が非常に素晴らしいですね。
ちなみに第90回アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされました。

そしてこの偉大な署長の自殺後も、ショッキングな展開が続きます。

ミルドレッドに味方するジェームズ

特にミルドレッドが致命的なダメージを受けた後の、警察署での騒動のシーンが興味深かったです。

立場が危うくなったミルドレッドを素早く庇い、助けたのは小人症のジェームズでした。

実はジェームズは、密かにミルドレッドに思いを寄せていたのです。

[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]騒動を起こしてしまったミルドレッドは、実は[move]こんな大層なことになると思っていなかったと見え、一瞬動揺した表情[/move]を見せます。[/moveline]

この描写から、根本的には彼女がやっぱり善人なのだなと実感させられました。

また大ピンチの時に、彼女に意外な味方がすっと現れる展開も素晴らしいです。

しかし何と彼女はジェームズとのレストランの席で彼に残念な態度を取ってしまい、遂には怒らせてしまいました。

この映画に出てくる人たちは、明らかに善人という風でない

そこが作品としては魅力的でしょう。

会話劇から感じられるリアリティ

町の人々の会話1つとっても、醜い言い合いや暴力的な行動などの連続。
また人々のセリフには、差別的な発言も多く見受けられます。

でもそのような会話劇から、逆に妙なリアリティが感じられました。
実際にこんな感じなのかも知れないな、と思わせる何かです。

更に物語の序盤ではミルドレッドの天敵であった警察官ジェイソンが、ウィロビーの遺書をきっかけに改心し彼女を助けるという展開にもハッとさせられました。

これで一見暴力的なジェイソンをなぜ、ウィロビー署長が可愛がっていたのか?も分かってきます。

後になって分かることですが、ジェイソンは実は警察署の中で誰よりも正義感の強い男だったのですね。

しかし彼の育った家庭環境や差別主義的な母親との長年の2人暮らしが、彼に悪い影響を与えたのだと納得できます。

ラストのドライブシーンは必見

ミルドレッドとジェイソンのやりとりは必見です。

ミルドレッドのこれまで溜め込んでいた憎しみが消え、涙が溢れ出す瞬間のように感じられました。

ミルドレッドはそれでもやっぱり犯人を殺すかも?
でも彼女の中の復讐心が薄れているのは確かで、「道々考える」という大人な返事をしています。

そこがクールですね。

[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]またこのシーンでの[move]ミルドレッドの笑顔が最高で、これまでの彼女の表情と全く違う[/move]のでハッとさせられました。[/moveline]

アカデミー賞受賞

アカデミー賞主演女優賞受賞

ちなみにミルドレッドを演じたフランシス・マクドーマンドは、本作品で第90回アカデミー賞主演女優賞を見事受賞。

更に一筋縄ではいかない警察官ジェイソン役を演じたサム・ロックウェルは、助演男優賞を受賞しています。

確かに申し分なしの、素晴らしい脇役でした。

まとめ

「スリー・ビルボード」は他人との人付き合いの煩わしさも存分に描かれています。

だからこそこれらが一掃された時、清々しい気分にもなれるのでしょう。

真っ赤な3枚の看板はそれぞれ、ミルドレッド、ウィロビー、ジェイソンを表していて、この映画がちょうど3つのパートに分かれていることを示唆しているのだと思います。

このような構成が何となく映像で分かるように工夫がなされているところにも、感嘆を受けました。

またこの看板を設置する広告代理店のレッドという若者が、良い波紋を広げる影の英雄であることも見逃せません。

これまであったようで、実は無かった映画。
大して新しいことはしていないはずなのに、どこか斬新です。

自分はこんな作品が観たかったのだなぁと実感しました。

泣ける作品が観たいとき、スッキリした気分になりたいときに特にオススメの作品です。

スリー・ビルボード

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