1997年の洋画といえば、超大作「タイタニック」（監督：ジェームズ・キャメロン）が話題の中心となっていました。
ですが、アカデミー賞で主演男優賞と主演女優賞を手にしたのは、「恋愛小説」（監督：ジェームズ・L・ブルックス）に出演した2人でした。
「恋愛小説家」キャスト
偏屈で偏狂的な恋愛小説メルヴィンを演じるのは、ジャック・ニコルソン。
病気の子どもを育てながら、ウエイトレスとして働くシングルマザーのキャロルを演じるのはヘレン・ハント。
２人とも名前を聞いただけでも、さまざまな作品を思い浮かべることが出来るいい役者です。
「恋愛小説家」あらすじ
行きつけのレストランで
その風体や性格、物言いからは想像できない、甘美な恋愛小説を書き続けるメルヴィン（ジャック・ニコルソン）。
彼の日課は行きつけのレストランで食事をすること。
だが勝手に自分専用の席を決めていて、他に客が座っていたら、痛烈な嫌味を連発し先客を追い払い席を横取りします。
しかもナイフとフォークは店の物が汚いと言って持参。
店からも他の客からも煙たがられる存在となっていますが、そんな彼が唯一、心を開いているのがウエイトレスのキャロル（ヘレン・ハント）です。
アクシデントで愛犬バーデルを預かることになり…。
そんなメルヴィンの周りで事件が起きます。
同じアパートメントに住むゲイの画家サイモンが、強盗に襲われ瀕死の重傷を負います。
日頃からゲイを揶揄し毛嫌いしていたメルヴィンですが、サイモンの愛犬バーデルを預かることになります。
実はこの出会いが、見どころの1つです。
偏屈なメルヴィンですが、犬の面倒を見ているうちに、人としての優しさが少しずつ芽生えていきます。
ここで欠かせないのが、犬のバーデルの名演技です。
エマ全編を通じて見せる表情と仕草は、まさに意思を持って演じているように見えます。
助演男優賞をあげたいような存在感です。
病弱な息子を抱えるキャロル
一方のキャロルは、子どもの喘息が酷く、看病のため店を休みます。
金銭的にも余裕がないため、いい医者には診てもらうことができず、発作のたびに息子を抱えて病院に向かうのも日常茶飯事。
キャロル以外の給仕を受けつけないサイモンは、これに困惑。
自腹で医者を雇ってキャロルの家に差し向け、息子の治療をさせます。
キャロルの給仕以外は受けつけないメルヴィンの遠回しな愛情表現です。
主演2人の圧倒的な演技が見もの
小説の中では美しい愛の言葉を並べる売れっ子作家ですが、現実の世界では嫌味で人に嫌われてばかりのメルヴィン。
子どもの病気を抱えながら、いつの間にか自分の気持ちを表現できなくなったキャロル。
お互い次第に心を開いたかと思えば、またぶつかり合って大喧嘩をする。
そんな繰り返し。
作品の前半では、そんな2人の圧倒的な演技で、大人の恋を表現していきます。
その後、画家のサイモンが退院してきます。
しかし彼に残されたのは、醜い顔のキズと莫大な借金だけで、住む家も無くしてしまいます。
仕方なく両親にお金を借りようと故郷ボルティモアへと向かうサイモン。
なりゆきで、その旅路に同行することになったメルヴィンとキャロル。
旅の最中に女性としての心を取り戻し始めるキャロルでしたが、ここでもメルヴィンの余計な一言で、2人の間に再び大きな溝ができてしまいます。
エマ嫌味な男を演じさせたら、ジャック・ニコルソンの右に出る俳優はいないな～と感じさせられます。
結局、サイモンはお金を借りられず、メルヴィンとキャロルの間にも溝ができたまま。
ですが、一連の騒動を通して凝り固まっていたメルヴィンの心の中に、次第に人としての優しさが芽生えていたのです。
そしてキャロルに別れを告げられたメルヴィンは、深夜にもかかわらず彼女の家へと向かい…。
まとめ
この映画は、「タイタニック」のように莫大な製作費はかかっていません。
主な出演者も主役の2人とサイモンそして犬のバーデルのみです。
しかしながら、さまざまなものを背負って、素直に生きられなくなった大人の恋と、頃固まった心が雪解けしていく人間模様を見事に表現した作品だと言えます。
それもこれも主役を演じた2人の圧倒的な演技力の賜物と言えます。
タイタニックを抑えて、アカデミー主演男優賞、女優賞に選ばれたのも納得の作品です。
見終わったとき、温かい涙が自然と流れる恋愛映画の金字塔と言えます。
地味な作品ですが、もっと多くの人に見てもらいたいものです。
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