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「フォックスキャッチャー」あらすじと感想【ネタバレなし】

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フォックスキャッチャー

アンナプルナ・ピクチャーズとライクリー・ストーリー社によって製作されているヒューマンドラマです。

本国アメリカでは2014年の11月14日から劇場公開された後に、日本でもロングライド社の配給によって新宿ピカデリーを封切り館に全国ロードショーされました。

目次

ベネット・ミラー監督作品

天才的な小説家が一家惨殺事件の真相に斬り込んでいく「冷血」や、型破りなゼネラルマネージャーが弱小球団をワールドシリーズへと導く「マネーボール」など、息詰まるサスペンスから知的なスポーツエンターテインメントまでを手掛けています。

第67回のカンヌ国際映画祭では監督賞に輝いた他、2015年度のアカデミー賞でも脚本賞にノミネートされました。

1996年に実際に起こった事件からインスパイアされてストーリーで、レスリングを偏愛する大富豪と金メダルを目指すアスリートとの異様な関係性に迫っていく衝撃作です。

「フォックスキャッチャー」あらすじ

マーク・シュルツは両親が2歳の時に離婚。
そのため歳の離れた兄のデイヴを父親代わりに慕っていました。

レスリングのチャンピオンに憧れる兄弟

経済的に苦しい暮らしを送っていて落ち着く場所もなかった兄弟は、数多くのレスリングの大会でチャンピオンになることで希望を見出していきます。

マークは第23回のロサンゼルスオリンピックで見事に金メダルに輝きますが、相変わらず生活は楽になりません。

マークに年俸2万5千ドルの破格でスカウトが・・・!

アメリカでも5本の指に入る名門財閥の跡継ぎジョン・エルテール・デュポンの代理人です。

ジョンは社会奉仕活動や慈善事業に積極的な篤志家として名高く、熱心なレスリング愛好家としても有名でした。

アメリカ代表チームのスポンサーも務めていて、前途有望な若者たちを敷地内に住まわせて練習場所を提供しています。

1988年開催予定のソウルオリンピックで金メダル獲得のため、「フォックスキャッチャー」と名付けられたプロジェクトが動き始めていくのでした。

「フォックスキャッチャー」キャスト

スティーヴ・カレル

ありあまる財産と由緒正しい家柄に恵まれながらも、破滅的な道のりを辿るジョン・E・デュポン役に起用されているのはスティーヴ・カレルです。

2005年に往年の名作ドラマをリメイクした「奥様は魔女」や、コメディアン俳優としての魅力を申し分なく発揮した「リトル・ミス・サンシャイン」など、これまでの笑いを誘うオーバーリアクションや多彩な表情を封印して、深い孤独感を漂わせた役柄にチャレンジしていました。

チャニング・テイタム

たった1本の電話からジョンの大いなる野望へと巻き込まれていく、マーク・シュルツ役をチャニング・テイタムが演じています。

鍛え上げられた肉体を駆使して次々と現れる屈強な対戦相手たちを打ち負かしていく、迫力満点のレスリングシーンは必見ですよ。

マーク・ラファロ

メンタル面での弱さが目立つマークをコーチとしても兄としてもサポートする、デイヴ・シュルツ役に扮しているのはマーク・ラファロです。

実力派の3人の俳優たちが時に友好的に時には激しくぶつかり合う演技は、まさにバトル・ロワイアルのようでした。

「フォックスキャッチャー」感想

客席が半分ほどしか埋まっていないイベントホールで子供たちを前にしてレスリングへの並々ならぬ思い入れを語る、マーク・シュルツの横顔がオープニングを飾ります。

講演料わずか20ドルのひもじい生活

エマ
胸元に光輝いているのは紛れもなくオリンピックで勝ち取った金メダルでしたが、講演料が1回わずか20ドルというのは安すぎますよね。

事務員には選手としての知名度が高い、兄のデイヴ・シュルツと間違われてしまう一幕がほろ苦いです。

食事はもっぱらファーストフードのハンバーガーをテイクアウトとしているようで、栄養バランスや試合前の軽量が心配になってしまいました。

厳しいトレーニングで汗を流した後でひとり暮らしのアパートに帰宅して、大きな身体を丸めて小さな携帯用ゲーム機でピコピコと遊んでいる姿には笑わされます。

突如舞い込んできたプロジェクトにびっくり!

そんなマークに突如としてペンシルベニア州のデュポン家から、ファーストクラスの飛行機チケットが舞い込んでくるとは夢にも思いません。

エマ
空港に到着してすぐさまヘリコプターに乗せられて、建国の英雄・ワシントンが野営したという森を飛び越えた現れる白亜のデュポン邸の荘厳さには圧倒されるばかりです。

お城のような自宅に住んで欲しいものは何でも手に入るジョン・E・デュポンですが、どこか物足りなさそうな眼差しが印象深かったです。

心の中にぽっかりと開いてしまった空白は、莫大な財産や名誉だけでは簡単には埋められないのでしょう。

フォックスキャッチャーのユニフォーム

兄のデイヴには美しい妻のナンシーと可愛らしいふたりの子供たちがいて、弟のマークには心から熱中できるレスリングがあって。

シュルツ兄弟と深く関わっていくことによって、少しずつジョンが精神的なバランスを失っていくようでハラハラさせられました。

ジョンの母が亡くなるシーンは胸が痛んだ

ジョンにとっては唯一無二の肉親でもあり心の支えでも会った、母親のジーン・デュポンがこの世を去ってしまう後半の展開にも胸が痛みます。

ジーンが亡くなった日の朝早くに、ジョンが厩舎のカギを外して母が飼っていた馬を逃がすシーンが幻想的です。

エマ
果てしなく広がっている草原の向こうへと駆け抜けていった馬の鳴き声が、悲劇的なクライマックスの引き金のようで忘れられません。

まとめ

フォックスキャッチャー

全編を通して重苦しいムードが立ち込めていますが、挿入歌には軽快なナンバーが選曲されていました。

1987年フランスのクレルモンフェラン世界選手権でマークが優勝した後のパーティーでは、デヴィッド・ボウイの「Fame」 が流れています。

[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]歌詞の中に登場する[move]「名声は人を狂気に駆り立てる」というフレーズは、本作品のテーマにぴったり[/move]ですね。[/moveline]

寡黙なジョンが少年時代にたったひとりだけいた親友とのエピソードを打ち明ける場面で聴こえてくるのは、ボブ・ディランの「This land is your land」。

レスリングの世界に別れを告げて第2人生を歩んでいくマークを送り出すかのように、エンディングではウェスト・ディラン・ソードソンの「The times they are a-changin」が力強く鳴り響いていて勇気を貰えました。

格闘技がお好きな方たちだけでなく、1970年代の洋楽に興味があるならチェックしたい1本ですね⭐️

フォックスキャッチャー

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