2020年に劇場公開の『犬鳴村』というホラー映画が凄かった!
『呪怨』を手掛けた清水崇監督作品ということもあり、興味を引かれた方が多いのが頷けます。
まず、幽霊(怨霊)の表現の仕方が多種多様でした。
まるでホラー演出のバラエティーパックのようなラインアップです。
演出がすごい!恐怖の海に沈んだ
- わざとピントを合わせないで『何だか分からないけど何かそこに得体の知れないモノがある』
- まるで人間のようにくっきりとそこに存在しているのだけど『どうみても人間の動きじゃないし、人間のカタチではないモノがいる』
- ベタですがさっきまでいなかった場所(後ろなど)に霊がいたり、淡々と殺気で人を殺めたりする怨霊
他、盛り沢山。
主に前半に『恐怖』をメインにした演出が多かったかなと感じます。
『犬鳴村』ストーリーと考察
怖くもあり、悲しくもあり、虚しくもありという感じでした。
冒頭|犬鳴村へ
初めは主人公の兄と、兄の恋人が好奇心で犬鳴村へ行こうとするシーンから始まります。
その村近くの電話ボックスがある時間になると鳴り響きます。
そして、その受話器を取ると犬鳴村へ行けるとのこと。
兄の恋人の女性は電話を取ってしまいます。
すると犬鳴村へ通じる犬鳴トンネルを塞いでいたブロックがなくなっており、通れる状態に・・・。
『この世ならざるナニカ』
そのトンネルを抜けた2人は『この世ならざるナニカ』に襲われてしまいます。
犬か人の怨念でしょうか。
命からがら元の自分たちが住んでいる場所へ帰って来た2人。
ですが、恋人の女性が変な歌を歌ったり奇行を繰り返すようになってしまいます。
恋人の絶命
何とかしようと兄と周りの人は努力しますが、奇行が行き過ぎて恋人の女性は高い場所から飛び降り絶命します。

これは霊でも怪奇現象でもないですが、単純に不気味さ、不快さを感じるシーンでした。
言い方はちょっと悪いかもしれませんが、若い女性が徘徊老人のような行動をするのは、これも一種のホラーだなと感じました。
再度、犬鳴村へ
そして兄は恋人を失い意気消沈します。
そこで兄は仲間を引き連れもう一度犬鳴村へ訪れる計画を立てます。
この兄には、すぐ下の妹である主人公と、一番下に弟がいます。
弟はこっそりと兄が乗る車に乗り込み兄について行ってしまいます。
仲間は「犬鳴村へ続くトンネルの前でやはり行くのはやめよう」と提案します。
けれども兄はそれを受け入れず、トンネルを封鎖しているブロックを乗り越え入っていきます。
兄と弟の2人が犬鳴村へ
仲間は帰りますが、弟は兄についていって、犬鳴村へと2人は消えていきます。
元々霊的なものに敏感な主人公
主人公は臨床心理士として病院に勤めています。
その間に霊が見える不思議な男の子や、その子の生みの母である霊などに出会います。
元々幼い頃から霊的なものを見やすい主人公でしたが、主人公の心中は穏やかではありません。
兄の恋人の死、兄と弟の失踪、母の奇行と立て続けに起こる身内の不幸が主人公を混乱と焦り、怒り悲しみ様々な感情を取り巻きます。
惨事の真相を探る
主人公はこのような惨事になった原因を父親問いただしますが、頑なに口を開きません。
結局主人公は母方のおじいちゃんの家に行って、話を聞きます。
おばあちゃんが犬鳴村の人である可能性を知りました。
そしてそこであった不思議な青年に導かれ自らの出生の秘密を知っていきます。
青年はフィルムでかつての犬鳴村で起こった惨状を見せ、主人公に真実を突きつけます。
主人公は意を決して犬鳴村へ向かいます。
そこには封じ込められている兄と弟、そして謎の青年が思いを寄せていた女性がおり、その女性が産んだ『赤ちゃん』こそ、実は主人公のおばあちゃんにあたります。
犬鳴村は時間軸がおかしいので、そこを突っ込んでしまうとアレなのですが、少しタイムリープものっぽい感じでもあります。
そして犬鳴村から兄と弟と『赤ちゃん』を助け出し、トンネルを抜けるところで兄が犠牲となり、最終的には主人公と弟と『赤ちゃん』が助かります。
『赤ちゃん』はおじいちゃんの若い頃の時代へ行き、主人公たちは元の時代の元の場所へ戻ります。
根っからの悪人はいないな・・・
わたしがこれを見て感じたのはどの立場も明確な悪の人はいないなと言うことです。
犬鳴村の人は犬を使ったり、殺したりして生計を立てている側面がありました。



そして犬鳴村へ打算的に取り入ろうと騙そうとした人たちもまた、それぞれ家庭があってやむを得ない事情があったのでしょう。
憎しみのループが続く
しかしそれは憎しみのループを作り出します。
憎しみ悲しみが断ち切れない呪いです。
主人公の父は犬鳴村の血を引く女性と結婚し、主人公の兄、主人公、弟の3人の子供を授かります。
しかしそれは自分たち(先祖も含む)がした惨いことを思い出すきっかけにもなり得ます。
恐らくですが、妻を見るたび、子供たちを見るたび『お前たちがしたことは決して忘れない』そんな強迫観念が常に父を蝕んでいるように感じました。
日本のホラー映画らしく最後はやはり完全なハッピーエンドではありませんが、色々と考えさせられる映画でした。
因果応報という言葉がピッタリ
フィクションだとは重々承知していますが「本当にあった歴史なのでは?」と錯覚を起こすほどのリアルさがありました。
映画を盛り上げる主題歌『HIKARI』
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]そしてこの映画のもう一つの目玉は、やはり[move]Ms.OOJAさんが歌う主題歌『HIKARI』[/move]です。[/moveline]
エンドロールに犬鳴村に関連する場所が実写で流れるのですが、本当にマッチしていていつまでも映画の余韻に浸りたくなるような魅力ある歌でした。
透き通るような歌唱と音楽、切なくて、でもどこか懐かしい思いにさせられる雰囲気があります。
まとめ
わたしの個人的な偏見ですが、日本のホラーはほぼハッピーエンドはなく、辛い気持ちになったことが多々あります。
しかし今回のこの『犬鳴村』はこのようなラストで良かったと思えます。
不思議と後味が悪くなく見終えたのはこの主題歌のおかげと言っても過言ではありません。
そのくらい素敵な歌でした。
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