『ジョジョ・ラビット』をあなたはもうご覧になったでしょうか。
もし見ていないのであれば、ぜひ見てほしい1本です。
今回紹介させていただく映画は2020年1月17日に公開された映画『ジョジョ・ラビット』です。
『マイティー・ソー:バトルロイヤル』で監督を務めた、タイカ・ワイティティが放つ愛と平和とブラックユーモアが絶妙にブレンドされた、ハートフル映画。
満足の星4でしたね。
『ジョジョ・ラビット』を見る前は、アカデミー賞にノミネートされている戦争コメディ映画という触れ込み以外、これといった情報しかなく。
わたしにとって戦争映画はどちらかと言えば苦手なジャンルに分類されます。
でも、「酷いシーンはやっぱりあるんだけど、今までやってた戦争映画よりは見やすかったし、衣装とかも結構お洒落だったから、見方を変えて見てみるとイイかもよ」と同僚から言われたので、レディースデーに思い切って映画館へGO!
この映画のあらすじを簡単に紹介してから、私の感想や印象に残ったことを書いていこうかなと思います。
『ジョジョ・ラビット』あらすじ
第二次世界大戦末期のナチスドイツのある村が物語の舞台。
ナチズムを妄信的に崇拝する主人公である10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は、空想上の友達アドルフ・ヒトラー(タイカ・ワイティティ、本作の監督でもある)の助言を受けつつ、青少年集団ヒトラーユーゲントで輝かしい少年兵になろうと歯を食いしばっていた。
ぽっちゃり愛され系男子ヨーキー(アーチー・イェーツ)ももちろん一緒。
ジョジョ・ラビットと呼ばれて
ある日の訓練の最中、ジョジョはウサギを殺すことを命令される。
心優しいジョジョはウサギを殺すことを渋ってためらっていると、ジョジョの目の前で教官がウサギの首をへし折ってしまう。
先輩兵士の命令に背いたジョジョは、教官から「ジョジョ・ラビット」というあだ名をつけられ、周囲からも冷やかしを受ける。
「ジョジョ・ラビット」という弱虫のレッテルを貼られたものの、負けじと爆弾を投げる訓練に励むも爆発に巻き込まれて重傷を負ったことをきっかけに兵士を辞め、兵士募集の張り紙を壁に貼る仕事に就く事になります。
ユダヤ人少女との出会い
ある日、死んだ姉の部屋から出る物音の正体を探っていくと、隠し扉があることがわかります。
そして母ロージー(スカーレット・ヨハンソン)が、亡き姉の部屋にある下屋裏のような小さなスペースに、ユダヤ人少女・エルサ(トーマサイン・マッケンジー)がこっそり匿っていることに気が付きます。
このエルサとの出会いがジョジョの物語を大きく動かしていくことになります。
ユダヤ人は化け物みたいなやつだと教育されてきたので、困惑しながらもエルサの生態を調べるために尋問します。
耳はどんな形だとか、何を食べるのだとか、まるで、人間以外の生物に投げかける質問をただの人間のエルサに投げかけているその姿がごっこ遊びに見えて微笑ましいんですよ。
デリカシーのない質問とかをうっかりしちゃって、エルサにキレられ逆襲される様は兄弟のようで微笑ましいかったです。
ジョジョにとっては憎きユダヤ人のエルサ。
彼女に対峙するためには皮肉屋で口うるさい空想の友人・アドルフしか頼ることができない。
ジョジョは恐れる気持ちを抱きながらも、エルサとの秘密の交流を通じて、次第に「人を愛すること」や「本当の勇敢さ」を学んでいく。
『ジョジョ・ラビット』感想
全編を通して思ったのは、戦争映画というよりも1人の少年が過酷な時代を過ごすなかで成長していくお話かなと思いました。
それから、少年の視点で描かれた戦争映画ってそもそもあまり無かったのでは?
主人公のジョジョは「真面目に訓練して、立派な兵士になるんだ」と信じてやまない、素直な心の持ち主というのが第一印象でした。
ジョジョが魅力いっぱい
ジョジョは、アドルフヒトラーに憧れて兵士みたいな振る舞いをするのですが、まだ解けた靴紐を結べないお年頃。
可愛いなぁ。
(個人的、ジョジョ可愛いベストシーンはエルサを泣かしてやろうと嘘の手紙を書いて読んだらエルサが思いの外ショックを受けていたのでさっきの手紙は間違いだと訂正の手紙(これも嘘)を書いて読むところ。好きな子ほどいじめたくなっちゃうよね。わかるよ。)
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]ユダヤ人少女のエルサにも、最初は恐る恐る近づくような感じだったのに、時が経つにつれて自分の知っているユダヤ人とは違うようだとわかると、エルサに対して優しくなっていく感じも[move]「ジョジョはエルサのこと好きになっていってるな」[/move]と感じてすごく可愛かった。[/moveline]
登場人物がみんなキャラ立ちしていた
スカヨハ演じる母・ロージー
夫不在の家を女手一つで守りながらも弱者を助ける凛とした強い女性で存在感が際立っていてかっこよかった!
ジョジョにダンスと恋をすることの大切さ、自由の素晴らしさを解いていた母ロージー。
自由にワインを飲んで、好きな靴を履いて、兵士にだって物怖じしないその姿は美しいのだけれどチャーミング。
(てかスカーレットヨハンソンってブラックウィドウ役の人だよね?DCつながりで出演してくれたのかなって思ったら自然と顔がにやけてしまいますね。)
だから、吊るされて処刑されてしまったシーンは胸が痛くなるくらい悲しかった。
キャプテンK(サム・ロックウェル)
エルサがユダヤ人だと気づいたにもかかわらず見逃してくれ、更にジョジョを庇ってくれた優しいキャラ。
キャプテンKは恐らく殺されてしまったのだと感じさせる銃声の音が悲しく響いたときは、本当に涙が止まらなかった。
ヨーキー
それから、ジョジョと同じくヒトラーユーゲントに参加していたぽっちゃり少年・ヨーキー(アーチ―・イェ―ツ)は、コメディ要素満点すぎるキャラクターだったな。
「やあ、ジョジョ」と言いながらポテポテと寄って来てハグしてくるこの映画の癒し枠、ヨーキー。
彼とジョジョの会話も微笑ましくて頬が緩みっぱなしです。
(個人的、ヨーキー可愛いベストシーンはジョジョに一番の友達じゃない(一番はアドルフ)といわれショックを受けてるシーン可愛そうなんだけど…可愛いそうなんだけど可愛くて悶絶です。)
戦争の惨たらしさはあまり感じさせない
素敵な人たちに囲まれて、ジョジョは幸せものだなぁと思っている裏では、じりじりと迫ってくる戦争の影。
そうだった、この話は第二次世界大戦中の話。
ある出来事を皮切りに洪水のように迫ってきます。
前半のハートフルなシーンの中に散りばめられた、不穏な要素も見て見ぬふりをしたんです
この映画の登場人物人物が死んで欲しくなくて平和ボケしてたんです。
重々しい場面のはずなのに、クスっとしてしまうセリフがあった。
実は、そのクスっとしてしまうセリフも物語全体を通してみれば、子供が戦争状態に置かれているということがどれだけ悲しいことなのかを物語るセリフだったりして胸が詰まる感じもしたけれど。
ラストは村が爆撃されるシーンなどの悲惨なシーンはあるものの、あからさまに人を殺したりするような悲惨な描写は思っていたより多くはなかったかなと思います。
比喩をうまく使って誰かの死を表現していたので、より戦争の酷さを感じた作品でした。
そのせいか『プライベート・ライアン』よりかも胸が締め付けられました。
特に怖かったのは、少年兵達が爆弾を持って、敵の部隊に突撃していくシーン。
突撃していく少年兵たちがどこか楽しそうで、まるで戦争ごっこをやっているような雰囲気で突入していくんです。
どこか遠い場所での話だと思っていた戦争が、ジョジョの知っている街を、ジョジョの見知った人を奪っていく。
空想と現実の間のような映像が恐怖を倍増させます。
命辛々、生き残ったジョジョは同じく生き残ったヨーキーと再開のハグを交わし、エルサを外に出したジョジョはエルサと一緒にダンスを踊るのでした。
印象に残ったこと
1、ジョジョとアドルフの関係の変化
ジョジョがエルサとの交流を深めるにつれて、ジョジョはアドルフに対して疑念とか幻滅といったものを感じていたのかなと思わされるシーンが増えていったのが印象的でした。
特に、物語の終盤で、アドルフがジョジョに対してまくし立てていた場面とか、アドルフが唾を飛ばすほどの勢いでまくし立てている姿に、ジョジョがみるみるドン引いていく表情なんてもう!
「自分はそうは思わないぞ」というジョジョの意思を感じて、すごく良かったなって思います。
ジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイビス君のその演技を引き出したタイカ・ワイティティのまくし立てて喋る姿は、歴史ドキュメントなどでよく流れるヒトラーのイメージにかなり近い!
2、靴ひも
全編を通して、ファッションがお洒落だなと思いながら見ていたから尚更そう感じるんだと思うけど、割と大事な場面で靴ひもを結ぶシーンが出てきたのが印象的だった。
靴ひもを結ぶっていう行動にはいろんな意味を込めているんじゃないかなと思えるほど。
わたしが思うに、「ひもを結ぶこと=絆、縁」みたいな繋がりや結びつきを強調するためなのかななんて思ったりしている。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]調べてみたら、[move]ヨーロッパには「良い靴を履くと幸せが訪れる」という言い伝え[/move]があるらしく、靴紐を結ぶことは靴を良く整える、引き締める行動だと思うので、新たに進む道での幸せを願うみたいな意味合いも込められているのかしらと思っている。[/moveline]
こじ付けかもしれないけれど。
ハートフルなシーンもいいんだけれど、所々に散りばめられてるブラックユーモアシーンも最高
オープニング
ビートルズの「I Wanna Hold Your Hand (抱きしめたい)」(しかもドイツ語版)をバックにアドルフ・ヒトラーの凱旋の映像流すオープニング。
まるでヒトラーがアイドルのようになってしまっているんですよ、笑ったらいけないとは思ったんですが、思わず吹き出してしまいました。
あと、ジョジョが入隊していた軍隊の教育も凄まじくて、ユダヤ人のことを半魚人みたいな姿形で匂いもきついと教えられてるんですよ。
コミカルに書いているけど、これって一種の洗脳だよね。
怖い、けど面白い。
タイカ・ワイティティ監督演じる、ジョジョの架空の友達のアドルフ・ヒトラー
なんとタイカ・ワイティティ監督はユダヤ人だそうで、多分役を演じるにあたって、複雑な心境だったと思いますが、そんなことはおくびにも出さないタイカ・ワイティティ監督のはっちゃけ具合はとても凄まじかったですね。
(個人的、アドルフおもしろシーンは去る時に窓に飛び前転の姿勢で飛んでいくところ。何箇所かあるんですけどそのたびにふふっと笑ってしまいました。)
でも、後半はアドルフヒトラーらしい怖い一面も出てきて(前半でもちょくちょく出してたんだけど)ジョジョはそれを乗り越えて一歩また一歩大人になっていくんです。
まとめ
この映画をまとめますと、ラブアンドピースな作品でございます。
戦争映画苦手だなぁって人にもおすすめできる映画。
戦争の悲惨さについて新しい視点で学べるし、人を愛することや本当の勇敢さって何だろうと考えるきっかけになるでしょう。
気になった方は、ぜひ見てみてくださいね⭐️
comment