普段観に行かない映画館に足を延ばした時に、ロビーに展示されていた衣装や絵コンテ、タブレットから流れた予告編にぐぐっと心をわしづかみにされてしまいました!
目的の作品が終わってすぐにこの映画のチケットを取り、20分後に開始した回を鑑賞。
何が凄いって、その熱量!
そしてこれが「ほぼ実話」だということに日本の準ゼネコンたる前田建設の矜持と自信を思い、こんな面白い会社員たちがいたのだということに衝撃を受けたのです。
マジンガーZの格納庫、作れるんじゃね?
2003年といえば、バブルがはじけて小康状態といったところでしょうか。
公共事業が冷え込み、せっかくの最新技術と知識を活かす場が減少していたころ、本気で「マジンガーZの格納庫、うちの技術で作れるんじゃね?」と考えていた男たちがいた、というのです。
作中では、そのチームを率いたアサガワをおぎやはぎの小木さんが演じています。
暑苦しいまでのその情熱が周囲を圧倒して引きずり込んでいくのですが、自ら飛びこんで行ったヲタクのチカダ(本多力)は置いておいて。
リアルタイムで見たことがないドイくん(高杉真宙)やエモト(岸井ゆきの)、差して興味もなかったベッショ(上地雄輔)らが、次第に影響されていきます。
マジンガーZの世界と、ロボットアニメの黎明期の作画事情などにも考察が及ぶ流れ、そして権利関係や企業の枠を超えた協力体制を構築していくに及んでは、ムネアツ(胸が熱くなる)と言わざるを得ません。
全編、ほぼ顔芸の嵐のようなアサガワの情熱。
適当に作られていたとしか思えない昭和40年代半ばの設定とアニメの設定のご都合主義のあれこれに真っ直ぐに向き合うことになり、その矛盾をもきっちりと突き詰めていこうとするその姿勢は見ているすべての人をその世界に引っ張り込みます。
ことに、仕事に対してクールに、今どきの若者らしく冷めた気持ちで臨んでいたドイが次第にのめりこんで行く様子や。
専門知識が乏しいことから細かいことになると睡魔に襲われて居眠りしてしまうエモトが、富士山麓の予定地の土質調査で掘削のプロ・山田と知り合うことで仕事以上の感情(恋愛)のパワーを得て、仕事に邁進していく様子はチャーミングで眩しく。
現在は広報担当でありながら、本当は土木のプロフェッショナルであるベッショは、設計やさまざまなプランニングをするものの、実際には建設されるわけではないというマジンガーZの格納庫というものに対して、それほど熱心に取り組むことはできないでいましたが。
ある日、逃げるようにして帰宅した彼が、深夜に見直していたマジンガーZの映像に対して…幼い息子が寄り添うように一緒にみていたことから…”夢”を見ることの意味を自身に問い直し、彼なりに凄まじいブラッシュアップを加えたプランをまとめ、披露したのです。
水、土、コンクリート、ジャッキアップ…そうしたさまざまな問題を一つ一つ解決していくファンタジー営業部の面々でしたが・・・。
そのなかで、どうしても自社の技術だけでは解決できない部分が出てきてしまいました。
アサガワはたちは、さまざまな企業に対して協力を求めて行った
空想上の、子供向けロボットアニメの中の構造物を作るための技術協力…まともに相手にしてもらえないと思っていたところ、驚いたことに三社が名乗りを上げてくれたのです。
前田建設のグループの前田製作所、田崎氏は「また親会社が無茶を言いやがって…って思ってた」と。
栗本鐵工所の堀部女史は真剣な面持ちでそのシステム提案と具体的な工期を語り、「弓教授(マジンガーZを擁する光子力研究所の代表)は待ってくれるやろか」と呟いていたのです。
彼女の目には、日本に迫りくる機械獣の姿が見えていたに違いありません。
さらに日立造船の強面、野宮氏はアニメの動画のとおりのマジンガーZのジャッキアップの速度と強度を実現するためには、作品中でマジンガーZを作る素材の超合金zを施設にも活用することを提案していました。
このシーンにあったのは、マジンガーZリアルタイム世代の実直な技術者たちが持てる全てをその実現に向けて惜しみなく注ぎ、協力してくれた、というパワーです。
そしてなんと、これらもすべてが実話です。
とはいえ、当初は「あいつらは一体何をやってるんだ?」と冷ややかに見られていたファンタジー営業部でしたが。
次第に営業部や他の部署を巻き込んで、じわじわと理解者を増やしていきました。
会社のホームページ上で、今なお本当に展開しているその活動でしたが。
会社の技術を面白おかしく広報していこうという目的を持っていたはずだったのに、なかなかヒット数に結び付かなかったのです。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]しかし、[move]”完成”したプランを、アニメの中の弓教授に提案した直後に、Yahoo!にその情報がアップされ…その結果、前田建設の本社のサーバーが落ちる程のアクセスが集中[/move]するという現象が起こりました。[/moveline]
世界は、こういう仕事を求めていたという何よりもの証左です。
まとめ|何としてでも続編をつくって欲しい!
観終わって…「凄い映画作ってくれたなぁ!」と楽しんだあとに、実は原作には続きがあって、銀河鉄道999とか、宇宙戦艦ヤマトとか、機動戦士ガンダムとか、さらなる凄い構造物にトライしていった前田建設ファンタジー営業部の面々の仕事が残されているのです。
お願いだから…そのうちのどれか一つでも、もう一度同じメンツで映画化してくれないかなぁ…と真剣に思っています。
小木さんがこんなにカッコいい作品て、そうそうあるもんじゃない…。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]そして、期待しても良いかなぁ、と思っている理由には、[move]ラストシーンに出てきた一人の青い肌のイケメンの存在[/move]があります。[/moveline]
是非、彼に再び会いたい。
だからこそ、ひとりでも多くの人にこの作品を見て貰って、次につなげる実績を残してほしいなと思っています。
最後まで何も含むところなく、こんなに笑える映画って、そうそうあるもんじゃないよ?
とりあえず予告編だけでも観て下さいね。
絶対本編観たくなるから!
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