ホフランド・ポローン社と、インデラブル・ピクチャーズによって合同製作されました。
本国アメリカで先行上映された後で、日本でもソニー・ピクチャーズエンターテインメントの配給で2002年の5月18日から劇場公開されています。
平凡な会社員が自らの拳で新たな世界を切り開く「ファイトクラブ」や、知能高き猟奇犯を熱血刑事が追う「セブン」など、アクションドラマからサスペンスまでの創作活動を続ける、デヴィッド・フィンチャー監督が発表した長篇第5弾です。
実際に起きた事件からインスパイアされていて、脚本家のデヴィッド・コープが112分のシナリオに纏め上げました。
サターン賞の主演女優賞にノミネートされた他、美術監督組合からもプロダクションデザイン賞を贈られています。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″][move]緊急避難用の小部屋に逃げ込んだ母と娘と、強盗団との間で息詰まる攻防が繰り広げられていくサスペンススリラー[/move]です。[/moveline]
「パニック・ルーム」あらすじ
浮気癖が直らない夫に見切りをつけたメグ
資産家のスティーブン・アルトマンと結婚していたメグでしたが、一向に浮気が治らない夫に離婚を突き付けました。
11歳になったばかりの娘・サラを連れてニューヨークへと移り住んで、心機一転2人だけの生活をスタートします。
メグと娘の新居は?
以前に大富豪が住んでいたと近所でも噂になっている4階建ての大きなお屋敷です。
3人の侵入者がメグたちを襲う
2人が移り住んできたその日の夜に、大富豪の甥に当たるジュニアという青年が仲間を引き連れて侵入してきます。
ジュニアに唆されたお人好しな警備会社の従業員・バーナム、目的のためには手段を選ばない雇われガンマンのラウール。
3人の侵入者による襲撃から娘を守り抜くために、メグは「パニック・ルーム」と名付けられた隠し部屋へと立て籠るのでした。
「パニック・ルーム」キャスト
強く美しく母なる慈愛に満ちたヒロイン、メグ・アルトマンの役を熱演じているのはジョディ・フォスターです。
小さな身体に大いなる勇気と知恵を秘めている、メグの娘・サラ役にはクリステン・スチュワートが抜擢されました。
1990年4月ロサンゼルス生まれの女優さんで撮影当時は若干11歳ながらも、ハリウッドを代表する大女優との共演にも気負いはありません。
ただいまメグとはどろどろの離婚調停中である、夫のスティーブンにはパトリック・ボーショーが扮しています。
移り気なスティーブンの交際相手には、当初は今作で主演女優を務めるはずだったニコール・キッドマンが起用されています。
クランクイン直前に発生した思わぬアクシデントによって、声だけの出演となってしまったのが残念でなりません
「パニック・ルーム」感想
事件の発端はメグ
行動力の固まりのような性質を持つ主人公のメグ・アルトマンが、後先考えることなく引っ越し場所を決めてしまったのがそもそもの発端です。
製薬会社で重役の地位にいるスティーブンに請求した慰謝料を、ちゃっかり購入金に当てるなど金銭面に関しては抜け目がありません。
そんな母親に振り回されながらも、文句ひとつ言うことなく細やかなお祝いのピザを頬張る娘・サラには癒されました。
お気に入りのワインを飲み過ぎても酔いつぶれることなく、明日からの前途多難に備えるメグの瞳に強い意志を感じます。
突如としてアルトマン宅へと忍び込んできた3人組の悪漢
それぞれが複雑な事情を抱えてバラエティーに富んでいるために一筋縄ではいきません。
1番話が通じそうでもあり分かり合えそうでもあるのが、パニック・ルームの設計に深く携わっているバーナムです。
裕福な家庭に生まれ育ちながらも、現在では強盗にまで身を落としてしまったジュニアは説得に一苦労しそうでした。
物語の舞台は、NY市マンハッタン区のアッパー・ウエスト・サイドにひっそりと佇む豪邸
三畳紀からジュラ紀にかけての希少な砂岩を原材料にして造られる、ブラウンストーンが外壁には使用されています。
色鮮やかな褐色が特徴的で、「ティファニーで朝食を」でヒロインのホリーが住んでいたアパートを思い出してしまう方も多いのではないでしょうか。
お洒落な外観に似合わずに、家の中には広範囲に渡って厳重なセキュリティシステムが張り巡らされていました。
複数の監視カメラが設置されていて、各フロアの各部屋とは個別に引かれた電話回線によって繋がれています。
極めつけは無法者から居住者を保護するための、コンクリートとスチールで囲まれたシェルターのような部屋です。
莫大な額の費用と手間をかけてまで、先住者が隠さなければならなかった物とは??
果たして何なのか予想してみてくださいね。
換気ダクトの開口部分を懐中電灯で照らし出して、隣人へモールス信号を送って助けを求めるアイデアが斬新です。
真夜中にも関わらずいち早く妻子の危機を察知して、はるばる駆け付けてくれたスティーブンの姿が勇ましく映りました。
パトロール中のふ2人の警察官もインターホンを鳴らしますが、サラを人質に取られてしまったためにお引き取り願うしかありません。
追い詰められたメグが一か八かのギャンブルに打って出るために、スリッジハンマーを握りしめて屋敷内のカメラを壊して回る終盤戦が迫力満点でした。
まとめ
紅葉が真っ盛りとなったセントラル・パークの片隅で、はらはらドキドキの物語は穏やかにエンディングを迎えます。
前夜の惨劇など大して気にする素振りも見せずに、木陰のベンチに寝っ転がって新聞の不動産情報欄を吟味するサラが微笑ましかったです。
メグも今回の一件で懲りたようで、かつてのようにコンシェルジュ付きのマンションなどを高望みすることもありません。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]これから押し寄せてくるであろう[move]苦難と向き合い、シングルマザーとして質素倹約に努める決意[/move]が伝わってきました。[/moveline]
進学や就職によって新しい土地での暮らしを始めようとしている人に特にオススメ。
comment