アジア系アメリカ人のハリウッド俳優ジョン・チョー主演。
2018年の『search/サーチ』をご紹介します。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]この作品がじわりじわりと注目されたのは、まず[move]主要キャスト陣がアジア系の俳優で固められている[/move]からです。[/moveline]
ハリウッドにおいてはこのような映画は案外珍しく、同年に公開された『クレイジー・リッチ』と共に話題になりました。
また何と本作品はストーリーのほとんどが、パソコン内の画面に映っている内容のみで進行するのも特徴です。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]よって物語は、[move]主人公のデビッドがパソコンの検索バーやSNSのコメントに入力する内容、更には動画共有サイトの動画を中心に進行[/move]していきます。[/moveline]
これらのことを想像で考えてみると、ほぼPCの中で物語が進む訳だからリアリティがなく薄っぺらの作品を連想します。
しかし実際に主人公目線で失踪した娘の手がかりを検索するシーンなどは、予想に反してスリリングなものでした。
この映画はハラハラと手に汗を握るスリラー映画でもありますが、親子間が上手くいってない家族が再び信頼関係を取り戻す感動作でもあります。
「search/サーチ」あらすじ
主人公デビッドがまだ幸せだった頃の回想シーンからスタート
その頃、デビッドには妻子がいて娘はまだ幼い。
娘は母親からピアノを習い始めます。
しかしこの母親のパメラが、ガンで他界してしまいます。
デビッドはこれらの記憶を全てパソコンの中に残しており、これを彼が観返すシーンはとても悲しく感じられました。
母の死から3年、父デビッドは娘マーゴットと上手くコミュニケーションできなくなっていた
それから3年の月日が経ち、娘のマーゴットは高校生になっています。
これまで3人で写っていた入学式の写真は、父親と娘だけになっておりこの写真一枚でこの家族の悲しみが伝わってくるのです。
またデビットはパメラが他界してから、マーゴットとのコミュニケーションが上手く取れておらずお世辞にも良い父親とは言えなくなっていました。
なぜか?

「そんなことってある?」って感じですが、やはりこれが悪い状況に繋がるんですね。
マーゴットがある日突然、失踪
父親は娘のピアノレッスンの先生に電話し、彼女に変わってもらおうと思い付きます。
ですが、娘はレッスンを半年も前に止めていたのでした。
デビッドは、娘が大好きだったピアノを自分には内緒で辞めていたことにショックを受けます。
更にこのことが、デビッドの中で悪い想像を起こさせてしまっているのが、観客視点でもすぐに分かります。
デヴィッドは、警察に捜索願を出す
するとローズマリーという女性捜査官が担当になりました。
デビッドは、彼女に何もかも全て話してしまいます。
「あなたの責任ではないから自分を責めないで」とローズマリーはデビッドをなだめますが、彼はやはり自分を責めるんですね。
そのせいか警察には連絡したものの任せっきりには出来ず、ネットを使い単独でも捜査を続けます。
なかなかのITオヤジ・デヴィット|ネットで娘を捜索
オンライン上であの手この手を使い捜査するところが面白いです。
また観客は彼の目線でPCの画面を観ることとなるので、スリルや恐怖、迷いや焦りなどの感情がダイレクトに伝わって来やすいのですね。
よって、非常にデビッドに感情移入しやすい仕組みになっていると思います。



PCで過去の彼女の投稿を見たり、クラスメイトらに連絡を取ったりしていると、デビッドの知らない娘マーゴットが浮き彫りになっていきます。
じわりじわりと静かに伝わってくる恐怖、このスリラー感が「search/サーチ」の持ち味
スリラー作品と言っても極度にバイオレントなシーンや残酷シーンはほとんどなく、精神的にヒヤヒヤさせられる作品です。
このようないきさつでデビッドは、ピアノの件1つとっても、自分は娘のことなど何も知らなかったのだと気付いていくのです。
またそれを周囲の人に悟られまいとやんわり隠すところが、後ろめたさを感じている証拠だと思いました。
例えば、娘の幼なじみの子の母親と電話で話すシーンなどは、正にそうです。
そしてだんだんデビッドは混乱し始めますが、その暴走ぶりが凄くてとてもじゃないけど観ていられません。
次々と疑惑が湧いていき、デビッドは遂に自分の実の弟までも疑い始めます。
挙句の果てには警察側から勝手に捜査するなと、禁止令まで出てしまう始末です。
意外な人物が犯人だった!
この物語のみどころの1つは、この犯人の意外性にあるのです。
よってこの映画は2度鑑賞すると、登場人物らの細かい発言などの辻褄が全て合っていることが分かります。
物語の半ばでは警察から「マーゴットは残念ながら死んだ」と連絡が入りますが、デビッドは何かに納得しきれず葬式の最中にも捜査を続けます。
このような人の直観というのは、実は大切なのだなと思いました。
しかしこのマーゴットが死んだという誤報が突破口となり、彼は自らの力で真の犯人を見つけ出すこととなるのです。
犯人が分かった瞬間は、正直ギョッとさせられました。



しかし犯人側にもそれなりの事情があったのですね。
そして、それは本作品の根っこのテーマと繋がってきます。
非常に良くできた、上手いシナリオだなと思いました。
ゾッとさせられるような恐怖の体験ができる映画
例えばデビッドが本当の犯人に気づき、それを裏付ける証拠をネットで検索するシーンなどは震えるほど恐ろしかったです。
このようなスリル満点のシーンはストーリー序盤から時々あり、それが後半になってマックスに広がっていきます。
しかし最後まで鑑賞するとこれが意外に泣ける話で、そこがこの『search/サーチ』の良いところではないかと感じました。
発想自体は非常に新しいです。
またこれまでにも似たようなチャレンジの映画はあったのですが、良い出来のものはなかったのでは?



ホラーやスリラーが苦手でいつもは避けてる方にもオススメです。
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