わたしは、『ショーシャンクの空に』を観て、愛らしいおじいさんのブルックスが印象に残りました。
『ショーシャンクの空に』ブルックスって誰?
主人公のアンディが刑務所に入所した頃には、ブルックスは既に高齢。
長年図書係をしていました。
ある時、ブルックスが仮釈放されることに
仮釈放で、社会復帰のためアパートとスーパーの仕事が用意されました。

自分の家を手に入れ好きなことをして生活ができるようになったのです。
でも、ブルックスはアパートで首を吊って自殺してしまいました。
受刑者にとっての最大の願いは、出所して塀の外で自由に生活することだが…。
でもブルックスは違いました。
刑務所での暮らしがブルックスにとっては幸せだったのです。
「ブルックス」と名前を呼んでくれる仲間がいること、馬鹿な冗談を言い合える仲間がいることで寂しさは感じませんでした。
ブルックスには大切な役割があった
図書係としての仕事、カラスのジェイクの世話、入所してきた新入りにルールを教えたりアドバイスをすることなど、自分の存在意義を感じることができていました。
仮釈放後にアパートと仕事が用意されていることは、一見手厚い支援に感じられます。
釈放後は、家族や知り合いを頼って自分で何とかするものだと思っていました。



でも誰もいない部屋で1人で過ごし、仕事では自分よりも若い職員に偉そうな態度を取られて自尊心を傷つけられました。
生きているというより、世間の憐れみで生かされている状態です。
相談する相手や冗談を言って笑い合える相手はだれもいません。
孤独の中で自分は存在しているのかわからなくなります。
ブルックスが泣いている場面は全くありませんでした。
感情を全く顔に出さず、言葉にも出さず、絶望して頭が空っぽになり何も考えられなくなっていました。
最後にやっと思い立ったことは、この絶望を終わらせることでした。
BROOKS WAS HERE
ブルックスが自ら命を絶ったときに「BROOKS WAS HERE(ブルックス、ここにありき)」とアパートの壁に彫ったのは「自分はここにいるよ!」ということを強くアピールしたかったのだと感じました。
仮釈放の受刑者が自殺したところで世間は見向きもしません。
それでも自分の存在をアピールするには、この方法しかなかったのです。
レッドが言った言葉で「あの塀を見ろよ。最初は憎しみ。しだいに慣れ。長い月日の間に頼るようになる。”施設慣れ”さ。」



この台詞に衝撃を受けました。
映画を見終わった後もこの台詞が1番頭に残っていたため、忘れないようにすぐにメモしました。
受刑者の心の変化
最初は塀を見る度に悲しみや怒りを感じ、当たるものもないので塀と自分の境遇を憎み、塀の外に1日でも早く出ることを考えたでしょう。
それが次第に塀に守られているように感じるようになりました。
塀の外よりも、もしかしたら人間的に扱われていたのかもしれません。
それほど世間は冷たいものです。
慣れてしまうとそこから環境を変えるのは恐怖でしかありません。
私たちでも仕事や引っ越しで環境が変わると、恐怖やストレスを強く感じます。
いつか環境を変えなければならないとわかっている場合は、慣れてしまう前に行動するべきです。
ブルックスは、50年間塀の中で暮らしてた。
おそらく塀の外で暮らしていた期間より長くなっています。
今更、塀の外に放り出されて「生きていけ」と言われるのは、何もない宇宙に取り残されるように残酷です。
仮釈放を言い渡されたときは、もしかしたら刑務所に収容されたときと変わらないぐらいに絶望したのかもしれません。
一体どうやってこれから生きていけばいいのかと不安に押し潰されそうでした。
主人公のアンディは無実の罪で刑務所へ
それでもアンディは希望を持ち続け、図書室の改善を行うことで受刑者たちの環境を改善したり、若者に勉強を教えて社会復帰の手伝いをしたりと、終始前向きな行動を取っていました。



最後には脱獄に成功し、新しい名前と人生を手に入れ、大親友のレッドと希望に満ちた人生を歩んで行く姿が描かれていました。
希望を見失わず前進して行ったアンディと、絶望と悲しみで最後を迎えたブルックスの人生が対照的でした。
映画を見終わってアンディよりもブルックスのことが心に残りました。
刑務所の中であっても、ブルックスにとっては安心できる生活の場になっていたのだと思います。
対照的な2人の人生を味わえる素晴らしい映画でした。
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本ページの情報は2022年11月時点のものです。
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