[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]「よこがお」は、[move]突然身内が犯罪者となり、自身の生活も変えざるを得なくなった女性の苦悩や複雑な気持ちが入り混じるさまがサスペンス色たっぷりに描かれる物語[/move]です。[/moveline]

なるほど、と思った時にはもうすっかり引き込まれていて、どんな結末を迎えるのか想像もつきません。
「よこがお」あらすじ&感想
後にリサと名を変える主人公・市子は真面目に仕事に打ち込んでいて、温かみのある素敵な人。
リサとしての場面では、表面は落ち着いてにこやかな雰囲気ですが、暗く深い闇が静かに彼女を包み込んでいるようでした。
一見、静かながら、どす黒いものを今にも溢れさせそうな怖さがひたひたと迫ってくる感じで。
そうするしかないんだろうなという状況に痛みが押し寄せます。
市子をかばう基子はいい人に見えましたが、かなり複雑な思いを抱えている人物ですね。
結局、市子を慕いながら恋愛対象にも近い感覚で彼女を見ていたということなのでしょうか。
自分の本当の思いは明かせないけれども、市子が自分とは全く関係ないところで幸せを掴むのは許せないのか。



基子は結局何をしたかったのか?
市子を尊敬していて、同じようになりたいんだろうになぜなのかと疑問がいっぱいでした。
本当は市子とどうしたかったのか、彼女を追い詰めて何がしたかったのかよく分かりませんでした。



被害に遭った妹・サキを大事に思う気持が全くないわけではないでしょうが、自分の思い通りにならないとサキのことを持ち出して、市子を縛ろうとしているように見えました。
本当はサキとの仲はうまくいっていなかったか、一方的に何らかの嫌な気持ちを持っていたかも。
心からサキを心配する様子がどうしても感じられなくて。
まさか喜んではいないだろうけど、かわいそうには思っているとしても心からの悲しみがなさそうなんですよね。
市子だけを追い込み、苦しみを増幅させるのも全く持って恐ろしいです。
本当になぜ、市子だけをあんなにも苦しませるのか。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″][move]市子には全く非がないのに、責められ疎まれ、大きく戸惑い苦しむ様子は恐ろしく悲しい[/move]です。[/moveline]
市子だって被害者のようなもの
直接、気持ちをぶつけられるのは市子しかいないからなのか。
だとしてもあまりにもひどいです。
市子だけが理不尽に、あらゆる悪意を向けられているようなのが腹立たしくもあり悲しい状況。
市子も、優しさを向ける基子に気を許しすぎてしまった面もありますが。



そういう流れに持っていくのが基子の計算の内だったとしたら、これまたさらに怖いんですけど。
リサは市子の時とは、全く別の美しさを放つ
市子は穏やかで愛情豊かな優しさと内側からのキレイさがあり、リサは掴みどころがなく妖艶で、ちょっと危うげな雰囲気に強く惹きつけられる感じです。
リサがその魅力で復讐を進めていくのが、怖いんですがドキドキもしてしまいました。
思惑通りになったと思いきや、意外な展開で驚きと虚しさが。
和道はかなり本気になっていたと思うんですが、市子にとって意味がなかったということなんですよね。
和道のことが市子の心を揺らせたことは一瞬もなかったのか。
基子への市子の衝撃の行動も、かえって基子を喜ばせていたのかもしれません。
事件を起こした市子の甥・辰男の心情も想像するしかないのですが、理解しがたい
事件そのものもそうだし、本当には何があったのでしょうか。
母親のことを知っても、感情が読み取れなかったのですが、十分、悲しみや後悔を出し切り、ある程度落ち着いた後の描写だったのか。
辰男の母の気持ちを考えると苦しいですよね。
息子の起こしたことから逃げたとも取れますが、やはり悩み苦しみぬいた結果だと思うとつらくて、どうにもザワザワする気持ちが残ります。
とにかくいろいろな人の人生が狂ってしまったのが、悲しいし怒りも覚えるしで。
辰男のしたことが報道通りなら心から反省してほしいし、もし何か明かされていないことがあるのなら、それが何なのか知りたかったです。
サキに対する辰男の言葉が本当であってほしいし、あまりにも後先を考えない、サキはもちろん周りをも不幸にする行動をしてしまったとの自覚はあるのでしょうか。
それにしても市子はやっぱり愛情深い
いくら自分しかいないとはいえ、辰男を受け入れ、親身になって。
辰男に対しての憎しみは感じられないんですよね。
憎んで、一切関わらないとしても仕方がないと思えるような状況なんですが。
基子に対しては生涯続くであろうと思わせる強い憎しみが表れていました。
基子の方も、市子に対し憎しみと憧れの混じったような何とも形容しがたい気持ちが溢れてこれは一体いつまで続くのかと。
最後、市子はどんな思いであの行動になったのか、様々な思いを一気にぶつけるようなとてつもなく強いものを感じました。
復讐はやめたけど、絶対に許さないというメッセージに思えた
その時、基子はどんな気持ちでいたのか。
市子の思いを少しは想像できたのか。
時が立ち、市子への気持ちに変化はあったのか。



何だか残念さが胸をふさぎます。
もう元の生活には戻れない市子
本来あっただろう新しい希望も無くなってしまって、市子はこれからどう生きるのでしょうか。
辰男の面倒は見続けていくのか。
その過程で新たな感情が沸き上がってくるとしたら、それはどんなもので市子の心に何が住むのか。
市子は本当に何も悪くないのだから、堂々と幸せな彼女なりの人生を歩めるようになればいいですね。
これからも、本来は必要ない苦労をすることになるかもしれないけれども。
やはりいくら年月が経とうとも、平穏に暮らしていくのは簡単なことではないんでしょうね。
いつまでも答えが出ないような問いを鋭く突き付けられたようなラストに、大いに考えさせられました。
最後まで登場人物の心情に何度となく心揺さぶられた映画です。
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