ヨーロッパ風の異国を思わせる舞台と、魔女や魔法使い、動く城が登場する不思議な世界観が魅力の『ハウルの動く城』。
細部まで丁寧に描かれた作画にうっとりしてしまいますね💛
『ハウルの動く城』あらすじ
![帽子を作るソフィー](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl001.jpg)
帽子屋の娘18歳のソフィーは、ナンパされている場面を魔法使いのハウルに救われます。
ハウルは、彼の心臓を欲する荒地の魔女からソフィーと共に逃げ切りました。
帽子屋に荒地の魔女がやってくる
![荒地の魔女](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl007.jpg)
追い返そうとしたソフィーですが、魔女に強力な呪いをかけられて90歳の老婆の姿に(>_<)
居場所を失ったソフィーは街を出て荒地へ旅に出ました。
カブの頭をしたカカシとの出会い
![ソフィーとかかし](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl010.jpg)
泊まるところを探すソフィー。
カブが案内したのは『ハウルの動く城』でした。
ひとまず城に入ったソフィーは、火の悪魔カルシファーと対話しました。
![カルシファー](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl012.jpg)
「ハウルに魔法の契約で縛られてコキ使われている」「この城も自分の魔力で動いている」という彼は、契約を無効にしてくれたらソフィーの呪いも解くと言いました。
ソフィーは、掃除婦としてハウルの城に居候することに
![掃除をするソフィー](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl019.jpg)
やがて戦争が起こり、魔法使いマダム・サリマンは元弟子のハウルに、手助けするよう求めてきました。
そうしなければ魔力を奪うというのです。
同じように協力を求められていた荒地の魔女は、魔力を失い只の老婆になってしまいます。
ソフィーはハウルは協力しないという趣旨を話しましたが、サリマンは容赦なくハウルを襲いました。
危険を感じたハウルは、魔法でソフィーの帽子屋へ引っ越しをし身を潜める
![ハウル、ソフィー、荒れ地の魔女](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl032.jpg)
荒地の魔女もそのまま仲間に加わり、ソフィが介護をするようになりました。
しかし町が空襲に遭い、ハウルはソフィーを守るために戦場にいきます。
ハウルを助けるためソフィーも城へ戻りハウルの後を追いました。
荒地の魔女がカルシファーがハウルの心臓を持っていることに気づく
![ハウルの心臓を掴む荒地の魔女](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl042.jpg)
それを奪おうとした荒地の魔女は火だるまに…。
思わず水をかけてしまったソフィーは、ハウルが死んでしまうのではないかと悔やみます。
城は崩れソフィーは谷底へ投げ出されました。
ソフィーはハウルの過去へリープ
![ハウル](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl044.jpg)
契約を交わす瞬間を目の当たりにしたソフィーは「未来で待ってて」と叫んで現代へ帰っていきます。
このときソフィーは18歳の元の容姿にもどっていました。
現代ではズタボロのハウルが待っていました。
まだなんとか城を動かしていたカルシファーでしたが、もう限界でした。
心臓をハウルの体に返す
![動く城](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl049.jpg)
契約が解けたカルシファーは喜んで飛んでいき、ハウルも無事目醒めました。
しかし、完全に魔力を失った城は崩れ落ち、皆は猛スピードで谷を滑り落ちていきます。
そのとき、カブが身を呈して皆を守ってくれたのです。
そのカブにソフィーがキスをすると、なんと人間になったのです!
カブの正体は隣の国の王子で、呪いで苦しんでいたのです。
彼は国に帰り、戦争をやめさせると誓います。
終戦後、「やっぱり皆と一緒にいたい」とカルシファーが再度合流。
ソフィーたちは新しい空飛ぶ城に揺られ幸せに暮らすのでした。
ハウルは生きた廃墟である
![ハウルにキスするソフィー](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl047.jpg)
本作において混乱しやすい点は、「ハウルの命はどこにあるのか?」です。
作中では、ハウルがカルシファーと契約する場面を見れますね。
ソフィーはカルシファーに出会ったとき、ハウルの心臓はカルシファーが持っているということを聞かされますが、最初のうちはまだそのことに対して現実味を感じていません。
でも契約した場面に遭遇することで、彼の命はカルシファーの命であるということを認識します。
視聴者も同じでしょう。
そこに生きていると思っていたハウルは、紛れもなく「生きた抜け殻」であると気づくのです。
『ハウルの動く城』と『風の谷のナウシカ』との共通点は?
![巨人兵](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/04/nausicaa001251.jpg)
これは、『風の谷のナウシカ』に見られる巨人兵の描かれ方と似たような表現ですね。
ナウシカに登場する巨人兵が、神話的な巨人兵→生きている巨人兵→廃墟と化した巨人兵と遷移するように、ハウルも、生きているように見えるハウル→抜け殻のハウル→本当に生きているハウル(ラストで心臓が元に戻るので)というように遷移します。
ハウルの存在は、こういった表現を持って強度を増しているのです。
カルシファーの力で動く『城』の存在
![ハウルの動く城](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2021/05/howl011.jpg)
これはぱっと見た限りただのがらくたの寄せ集めであり、カルシファーが動かさなければ崩れてしまう、まさに「生きた廃墟」なのです。
カルシファーとの契約が切れた瞬間、城は魔力を失い死んでしまいます。
しかし、カルシファーがいるうちは、板一枚にそれを支える柱だけになってもなお動き続けていました。
城には命が、魂が宿っていたのです。
タイトルに『ハウルの動く城』とあるのは、廃墟に宿る魂、魂が抜けた廃墟を描いた作品だからです。
主人公のハウルと城は、「生物と無生物」という全く別のものに見えて、実はほとんど同じものであると思います。
![](http://ands-dw.com/wp-content/uploads/2019/12/B44DE280-6912-43BE-BC79-E395B7D27753-1.jpg)
ハウルは抜け殻から命あるものになった。
それだけの違いなのです。
『ハウルの動く城』Twitter口コミ
まとめ
宮崎駿監督の作品には、やはり強い「生」を感じます。
「人間と自然の共生」は様々なところで語られているとおり明確なテーマでありますが、「廃墟と精神」もまた、宮崎駿監督作品の「生」を生み出している大きな要因なのです。
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