物語の終わりで、銭婆の家から帰ってきたハクは、湯婆婆に千尋と両親を元の世界へ戻すように詰め寄ります。
そこで湯婆婆は、豚の集まりから両親を見つけることが出来れば開放すると言いましたよね。
[moveline color=”#afeeee” sec=”5″ thick=”40″ away=”2″]千尋は、[move]豚たちを見渡し、迷うことなく自分の両親はこの中にいない[/move]ことを発言していました。[/moveline]
そしてその回答は正解。
この豚の集団から両親をを探せと言っておきながら両親はそこにはいません。
最後の最後まで湯婆婆は、卑怯な魔女っぷりを発揮(>_<)
これについてはいろんな考察ができます。
千尋がたくさんの豚の中に両親がいないと分かったワケは?
1、家族の絆が千尋を正しい道へ導いた
これは、湯婆婆と坊の関係性との対比とも考えられます。
溺愛していた坊が、銭婆の魔法でネズミにされていたのにも関わらず、湯婆婆は全く気づきませんでした。
千尋は、序盤のシーンから分かるように、親との仲が良いようには見えませんでした。
しかし、見えない絆で繋がれていたのではないでしょうか。
ただ、そうは言っても千尋の両親は彼女に冷た過ぎたので違和感を感じてしまうんですよね。
2、川の神さまがくれた苦団子を食べたことで千尋に何らかの力が働いた
千尋は、暴走したカオナシや深い傷を負ったハクをこの苦団子で救っています。
実際千尋もちょっとだけかじってますが、その時の千尋は特に大きな問題が発生しておらず何も起こりませんでした。
しかし、何かしら力を身につけていてもおかしくありませんよね。
3、銭婆がくれた髪留めに何かしら細工がしてあって千尋を救った
欲がなく優しいおばあちゃん的な存在の銭婆。
湯婆婆を超える魔女であることは伝わってきますよね。
手作りであっても髪留めに魔法の力が込められていてもおかしくありませんよね。
あちらの世界から戻ってきた千尋が、一度振り返りそうになりましたが、思いとどまってまっすぐ前を向いていました。
そのとき、髪留めがキランと光ってました。
銭婆の魔法で千尋をこちらの世界へと導く手助けをしたとも考えられます。
このように、髪留めにはどんなときでも千尋を助けるおまじないがかかっている可能性は高いです。
4、豚の両親には髪の毛があったから見分けられた
両親が屋台で神さまたちの食べ物を一心不乱に食べているとき、豚へと変わっていき…。
その時、両親の頭には髪が生えていました。
この髪を目印に両親を探したのではという意見も。
ただ、ハクが千尋に、両親に合わせてあげようと養豚場へ誘うシーンがあります。
そこには普通の豚の姿しか見られませんでした。
そのことから、食べ物を食べている両親が完璧な豚にまだなっていなかったため、髪の毛が残っていたのでしょう。
実際、湯婆婆の元に連れて行かれたときは、完璧な豚に変わったと考えた方が違和感ないですよね。
5、千尋が成長した
それは、宮崎駿監督のコメントから分かります。
「最後の豚の集団を見て、千尋がお父さんお母さんがそこにいないとなぜ分かったのか説明していない。理論としておかしい、と説明を求める人がいる。でも、僕はそういうのを大事だと思っていないから。これだけ経験を経てきた千尋は両親がいないことが分かる。なぜ分かるのか、でも分かるのが人生なんですよ。それしかないんですよ。そんなにここが欠けてて、あそこが欠けててって指摘できるなら、観客が自分で埋めればいいんだから。僕はそんなところに無駄な時間を費やしたくないんですよ。」
このコメントから、「もう自分たちで考えて!」という気持ちがヒシヒシ伝わってきますよね。
それと同時に、千尋はあちらの世界でいろんな経験を通して成長したのだから、両親がいないと分かるもんなんだよと宮崎監督は述べています。
監督自身が発信しているので一番有力な理由ではないでしょうか。
この作品は何の能力もない10歳の少女が、労働をしてそこで友情や助け合いを経験して成長していくことを重点においたストーリー。
重要視すべきは、魔法なんかの特別な能力ではなく千尋自身の成長なのでしょう。
まとめ
『千と千尋の神隠し』の作品が影響を受けている『クラバード』という本について。
宮崎駿監督が以前、一橋大学の講義で素晴らしい作品として発言した作品が『クラバード』です。
『クラバード』は、1人の少年が労働をして、そこで学び、生きる術を身につけて大人になっていくストーリー。
この『クラバード』によく似たシーンがいくつかあります。
その1つが、少年クラバードの彼女が、12羽のカラスの中からカラスに変身したクラバードを探すという話です。
彼女はクラバードを探し当てたのは「愛」だと考えられています。
千尋と両親の間に、私たちには感じることが出来ない愛があるのかもしれません。
\ジブリ最大のヒット作!/
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