2008年公開のジブリによる長編アニメ『崖の上のポニョ』、今から15年近く前の作品です。
もう、そんなに月日が経ちましたか…。
感慨深いです。
ついこの間とは言わないけれど、さほど昔のような気もしない自分に焦りを感じなくもありません。
『崖の上のポニョ』公開当時を振り返ってみると・・・
この当時、自分は仕事に毎日多忙、長距離通勤に加え、早朝から深夜までクタクタに疲れ切っており、休日の自宅の仕事の合間に見る映画がストレス解消の手段の一つでもありました。
何しろ、精神的にも肉体的にも疲労困憊・・・。
なので、重厚な芸術作品は大きな映画賞受賞作品以外はなかなか見る気が起きませんでした。
ハッピーで明るく可愛らしく、心躍る様な体験ができるような映画が好みでした。
難しく考えるのもあまり苦手ではないのですが、ダメなときはダメです。
その点、子ども~大人まで楽しめるディスニーやジブリは、とにかく見やすく、目にも美しく楽しかったです。
ディズニーの描画・CGの完成度の高さとダイナミックさ、ジブリのイメジネーション溢れる描画の表現力とストーリー展開は、多少の絵心がある自分のもはや到達できないほどの領域で、羨望や憧れなどなく、ひたすら感動できる才能に裏打ちされた技術力の世界でした。
最近はしていませんが、どちらの作品も気になったものは、DVDおよびブルーレイを購入してコレクションとしました。
『崖の上のポニョ』もそのような作品の一つです。
わたしが『崖の上のポニョ』を観たワケ
宮崎駿監督作品だもの!
それは多くの人がそうであった理由と同じ、宮崎駿監督がアカデミー賞長編アニメーション映画賞を受賞して以来、ずっと注目を集め期待されていた2作目となった作品だからです。
受賞作であった『千と千尋の神隠し』及び、前作の『ハウルの動く城』も素晴らしく、ハウル…の方は同様にDVDをゲットしました。
金魚を飼っていたから
もうひとつ、『崖の上のポニョ』を観て大事に思う理由が自分にはありました。
なんてことはないけれど、金魚を飼ってたんですね。
大人になってから飼い始めた金魚が、もう可愛くて可愛くて、食っちゃいたいくらい可愛い。
稚魚のときから声をかけて、毎日見つめながら育てたせいか、非常に人間臭い金魚に(^_^;)
たかが金魚とはいえ、流石に人間に飼われるようになって2000年程の歴史があるだけのことはあり、セキセイインコなどの小鳥も飼っていたこともありましたが、比べ物にならない複雑な感情を持つ生き物なのだと感心する毎日を送りました。
視聴中の映画で、ポニュのセリフや仕草に、あ~このセリフ、○○ちゃん(金魚の名前)が言いそう…と、感慨深かったです。
具体的には、ポニョの「こんな足嫌だ!人間の足が良いっ!」と駄々をこねるシーン、口がきけたらうちのも言いそうでした。
“ハムが好き!”と食いつくくだり
あれ、アカムシだろ?なんて、家じゅうで笑っていたくらいです。
観賞魚用のリッチなエサに冷凍アカムシというものがあり、赤虫を冷凍・粉砕した後板状にして細長くスライスした生餌風のエサがあるのですが、これを食べると精力バツグンで、夜になっても元気です。
時代的にちょっと損をしていた『崖の上のポニョ』
2008年のこの時期は、アニメに限らず実写でも3DCGを駆使した作品が最先端で主流となっていた時期で、ジブリのこの素晴らしいあふれ出る描画の素晴らしさをそのまま素晴らしいと感じる人はあまりおらず、少し古めの手法と見られていたふしがあります。
それから十数年、やはり、手書きの描画の表現力やイマジネーションが再評価というより主流に戻ってきており、TV録画ではなくブルーレイで購入しておいてよかったと思える作品となりほっとしてます!
その点で少し評価が損だったイメージだけれど、全体を通して見ると、神話の世界や、夢心理学のような象徴やシンボルなどが盛り込まれた不思議な趣を持った作品ですね。
ただ可愛くて楽しいだけではなく、この世とあの世の接点などをそれとなく描いていたりと、幅と深みのある作品です。
20年くらい時代を先取りしていたテーマ
主人公たちはホントに幼い子供たちですが、大人の世界は介護施設で働く母親と底の老人たちも出てくるようなところが、当時はまだ話題として少なかった介護問題の一端を描いています。
20年くらい題材としては早かったのではないかと思っています。
大きな嵐による洪水が起きた際に介護施設にパートに行っている母親が、様子を見に行ってくるので子供達に家で待っていて、と言い聞かせておいて出かけるシュチエーションは他人ごとではなく現実的です。
さらに、帰宅が遅い母親を心配して洪水が弾けぬ中、捜しに行ってしまう幼い子供達の様子もまたしかり。
けっこう、よくできた再評価すべき作品ですね!
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